Land Rover New Defender 後編

昨日は、代官山 T- SITE で開催された、ランドローバー デザイントークショーに参加してきました。
英国 Land Rover 社の取締役にして、チーフデザインオフィサー である Gerry McGovern 氏と、元日産自動車の専務執行役員にして、デザイン部門のトップであった中村史郎氏、司会進行が自動車評論家の岡崎五朗氏の対談です。McGovern 氏は British English で話されますが、米国に長期滞在されていたこともあり、あまりクセを感じさせない聞き易い英語でした。

司会進行役の岡崎五朗氏

Land Rover New Defender 90 by Disco-4@東京©

Gerry McGovern 氏 と 中村史郎氏

Land Rover New Defender 90 by Disco-4@東京©

McGovern 氏の代表作は、MG-F, Freelander, 3rd Range Rover, Evoque などで、 それ以降の Land Rover 社が世に送り出す、すべてのクルマのデザインに関与しているそうです。

ランドローバー社には、デザインバイブルというのが存在して、そのフィロソフィーを作り上げ、定着させた結果として、ランドローバー、レンジローバーのブランドとしての DNA が受け継がれているそうです。

Land Rover New Defender 90 by Disco-4@東京©

これにより、
Range Rover は、ラグジュアリーなプレミアムブランドに、
Discovery は、多様性を重視して、ファミリー層から仕事現場まで、
Defender は、タフで耐久性を重視する、過酷な環境への対応、
という棲み分けが出来ているそうです。

Land Rover は、今回日本で開催された ラグビー・ワールドカップのスポンサーになっていますが、ラグビーはそもそも英国が発祥の地であり、英国内では各種スポーツの中でもハイクラス(知的で紳士的)かつタフなスポーツという位置づけになっているそうです。
これが Land Rover, Range Rover のイメージとぴったり合うことから、スポンサードしたということです。

今回の 90 は、車内を見ることは適いませんでしたが、対談中に1回だけドアの開け閉めをしてくれました。そのドアの開け閉めする際の音は、従来の Defender からは想像もつかない「カチッ」とした音でした。ドアキャッチをリリースするときも、ドアが閉まる音も、従来の鉄板で出来たドアが発する音とは大きく異なり、現代の高級車のレベルに到達していました。衝突安全性能や耐久性能、気密性能のアップが、こういう場面に表れているのだと感じた次第です。

今後の計画としては、110 と コマーシャルカー(商用車)がラインアップに加わる予定とのことでした。このコマーシャルカーが 130 を意味するのかどうかは定かではありません。

また、マーケットの需要をかなり意識していて、今後は同じ Defender でも用途別に;

1) Urban Pack 都会用、街乗り用
2) Adventure Pack 冒険用
3) Explorer Pack  探検用
4) Country Pack  アウトドア用

など複数の仕様が用意されています。
これらはすでに Land Rover Japan の HP に掲載されています。

https://www.landrover.co.jp/Images/New-Land-Rover-Defender-Launch-Edition_tcm298-731630.pdf

英国人の文化、気質について話が及ぶと、以下のように要約されます。

1) ルール作りが上手い
2)冗談好きで、ユーモアをトークに盛り込む
3)フォーマルでいながら Fun である
4)長期に渡りひとつのモノに惚れ込んで愛用する

これらがベースとなって文化が形成されているため、英国人のデザインはタイムレスで古臭くならないというのが御三方の一致した意見でした。

さらに、Land Rover ではリダクショニズム(通常は還元主義と訳しますが、今回のトークの場では「引き算の考え方」と言っていました)を下に、徹底的にムダを剥ぎ取ることで、美しさを追求しているそうです。
最近の Land Rover 車で、シフトレバーがダイアルになり、停車時には引っ込むというのは、正にこのデザイン上のムダを剥ぎ取ったからだそうです。走行中以外、シフトダイアルは必要ないという考えです。

この結果、Land Rover 社では、世の中の先を見てデザインをしているそうで、そのためマーケットに認知されるまで少し時間を要するのだそうです。しかし時間が経つと、街中に自然と馴染んできて、より広い層に受け入れられ、長く愛され続けるのだそうです。これがタイムレスだと言うことでした。
自分の経験からも、4th Range Rover はだいぶ見慣れてきたと思っていて、この発言には納得してしまいました。

これに対して中村氏曰く、日本車のデザインは、そこまでゆっくり浸透するのは待てないのだと仰っていたのが印象的でした。日本ではマーケットに出た時が勝負(ロケットスタート的な販売面での瞬発力)という感じがありますよね。

このジワジワと浸透させて、タイムレスな存在になるためには、独自の個性とクルマの本質である佇まいが重要だと仰っていて、これは説得力がある言葉だと感じました。比較するものが無いということは、マーケティング上強みになるということです。

さらに話が弾んで、デザインとエンジニアリングの関係に話題が移りました。

クルマのプロポーションは、プラットフォームに影響されるとのことです。エンジニアリングは、各国の異なる法規制やレギュレーションをクリアし、製造コストや各国の税制、マーケティングの結果を重視して量産できるものを狙います。

一方でデザイナーは、長期に渡り愛用して頂けるクルマを提供したいと考えます。そこで、デザインチームとエンジニアリングチームは喧々諤々と議論を重ねるのですが、両者のターゲットは「いいクルマを世に送り出す」という点では一致しているのです。

今回のトークショーで、 McGovern 氏 が繰り返し使っていた言葉が、サスティナビリティーでした。日本では持続性とか継続性などと訳されますが、彼はこれをもっと深く落とし込んで考えていました。

ひとくちに環境問題や各国のレギュレーションに対応すると言っても、いろいろな方法があります。
1)
空気抵抗や走行抵抗を減らし、市街地や高速走行での燃費を改善する。
このため Defender のボディーは、従来に比べて丸みを帯びて、空力特性を向上させています。

2)
エンジンの排気量を減らし、廃ガスの発生量を抑えて、エネルギー問題や地球温暖化対策に配慮する。今回導入される Defender は、直4 – 2000cc ターボ付きガソリンエンジンで300馬力仕様です。

3)
車体重量を軽減し、少ないパワーでもより良い走りを楽しめるようにする。Defender にもウエイドセンシングが付きました。渡河時に能力を発揮しますし、グラウンドビューも付いているので、エンジンフード直下の地面が見えるようになっています。

4)
耐久性能をアップさせ、部品交換の必要性を軽減する。
Land Rover の HP 上にあるホワイトボディーを見る限り、かなり丈夫そうなモノコックです。

5)
上質なプライベート空間をオーナーに提供し、オーナーを飽きさせることなく、末永く愛着を持って接してもらえるようにする。
今回室内は見ることができなかったので、興味のある方は Land Rover のHPをご覧ください。

https://www.landrover.co.jp/Images/New-Land-Rover-Defender-Launch-Edition_tcm298-731630.pdf

その上で、魅力的なデザインをまとった、オーナーから末永く愛されるクルマを数多く世に送り出すことが Land Rover の使命であるとのことです。今や単なる4輪駆動車専門メーカーということでは、生き永らえない環境となっています。Land Rover というメーカーが末永く生き続けられなければ、継続的に満足できるサービスやメンテナンスをオーナーに提供することができないということです。
それ故の、先を見たトータルな意味でのデザインやエンジニアリングということになります。
デザインは企業のバロメーターであるという点も、 御三方の一致した意見でした。

人生を豊かにするデザインは、人の心を変えると仰っていたのが印象的でした。

個人的には、今後 Land Rover 社は、よりラグジュアリーな方向へ舵を切るものと思いますが、例えばパネルにウッドを使うとか、シート表皮にレザーを使うのは、森林保護や動物愛護といった観点から難しくなるだろうとのことでした。今後は代替素材の研究・開発・調達を推し進めていくことが重要になるだろうとのことでした。

自動車メーカーって、このような保護・愛護活動にも目を向ける必要があるのですね。自分は考えてもいませんでした。

今回のトークショーで、自動車業界の置かれた厳しい側面をも垣間見た気がしました。Land Rover も例外ではないようです。

最後になりましたが、私から McGovern 氏への一問一答です。

私:
新型 Defender はアルミのフルモノコックボディーを採用しているが、メンテナンスやサービスはどのように考えているのか。

McGovern 氏:
現代のクルマは Defender と言えども、高度なコンピューターシステムとソフトウエアで制御されているため、今までのように DIY では出来ない。アフターサービスは全世界に広く構築された、最新設備を持つ Land Rover の正規販売店で行って欲しい。

以上でレポートを終了します。
長々とお付き合いくださいまして、ありがとうございました。


ランドローバー三島店のアドレスです。

https://retailers.landrover.co.jp/mishima




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“Land Rover New Defender 後編” への2件の返信

  1. はじめまして。yaoと申します。
    私も前日に見に行きましたが戦車のような存在感でしたね!
    気に入ればその足でディーラーにローンチモデルを注文しに行く勢いでしたが
    あまりの大きさに乗りこなせる自信がなく諦めました、笑

    トークショーの内容が気になっていたので、
    とても興味深く拝読しました。ありがとうございます。
    トレーラーも素敵です。
    私もlandyですので、またブログを楽しみに伺います。

    1. yaoさん、はじめまして。コメント、ありがとうございました。デザイン的にはこれもアリだなと思うのですが、如何せん全幅が2m超えなので、住宅街での取り廻しを考えると気が引けますね。
      トークショーは大変勉強になりました。ジョークを交えながらとてもいい雰囲気でした。予定時間をオーバーしてのサービスぶりで、参加してよかったと思いました。
      自分は、トレーラーを牽引するにはどんなクルマがベストなのかを検討した結果、ディスカバリー4に行き着きました。牽引走行も楽しいですよ。
      今後ともよろしくお願い致します。

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